研究概要 |
本年度は、インゲン葉からcDNAライブラリーを作成し、抗血清を用いてガラクトリパーゼcDNAスクリーニングを行うとともに、昨年度に引き続いてガラクトリパーゼタンパク質に関する免疫学的研究を行った。 1.ガクトリパーゼタンパク質の発現量が多いインゲン(Phaseolus vulgaris L.)の幼葉からmRNAを単離し、cDNAライブラリーを作成して、抗血清によるガラクトリパーゼcDNAのスクリーニングを行った。当初の実験では、一次スクリーニングで得られた陽性クローンがすべて二次、三次で消失したため、逆転写のレベル、ライブラリーに含まれるcDNA断片の鎖長、抗血清の純度などを検討し、現在新たに作成したライブラリーを用いてスクリーニングを行っており、有望な結果が得られている。 2.インゲン葉には、葉緑体膜結合型と可溶性の少なくとも2種類のガラクトリパーゼが存在する。これまで葉緑体酵素に注目して研究を進めており、抗血清もこの酵素から作成している。そこで、この抗血清を用いて可溶性ガラクトリパーゼの免疫学的性質を調べた。その結果、可溶性ガラクトリパーゼの活性は抗血清によって完全に阻害されるとともに、ウエ スタンブロッテイ ングによって分子量54,000の位置に可溶性ガラクトリパーゼサブユニットの明確な単一バンドが確認された。従って、可溶性ガラクトリパーゼは少なくとも免疫学的には葉緑体酵素と類似していることが明らかになった。 3.ガラクトリパーゼが、活性酸素などの作用で葉緑体膜に蓄積した過酸化脂質を消去できるかどうかを調べるため、過酸化ガラクト脂質を作成してガラクトリパーゼの作用を調べた。その結果、ガラクトリパーゼは未処理のガラクト脂質と同程度に過酸化ガラクト脂質を加水分解できることが分かった。
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