研究課題/領域番号 |
04640666
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
矢沢 徹 東京都立大学, 理学部, 助手 (30106603)
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研究分担者 |
桑沢 清明 東京都立大学, 理学部, 教授 (10015589)
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キーワード | 十脚甲殻類類 / 心臓 / プロクトリン / テトロドトキシン / サイクリックAMP / ペースメーカーニューロン / ドライバー電位 / カルシウムイオン |
研究概要 |
海産大型甲殻類オニヤドカリ(Aniculus aniculus)の摘出心臓に対する甲殻類の代表的ペプチドホルモン、プロクトリン、の効果を調べた。プロクトリンの標的細胞に対する直接作用を、心臓を構成する3種類の興奮性細胞(1)心臓神経節大細胞(2)同神経節小細胞および(3)心筋細胞で個別に解析した。プロクトリンは低濃度(10^<-11>M)で心臓神経節大小細胞の不規則な群放電をリズミカルに同一パターンを繰り返す群放電に変えた。低い濃度では心筋に対する直接作用が観察されなかった。高濃度(10^<-6>M-10^<-5>M)のプロクトリンは、心臓神経節のインパルス発火頻度を増大させた。即ち、心臓神経節大小細胞両方で群放電内インパルス数が著しく増大した。一方、これに伴い心臓神経節群放電発生頻度は低下こそすれ増大することはなかった。また高濃度プロクトリンは心筋に持続的張力を発生させた。これらの解析から、プロクトリンの心臓に対する「正の変力性」、「正の変緊張性」および「負の変時性」効果発現効果が作用部位の点で明らかにできた。 次に、TTX(10^<-6>M)存在下での実験から、プロクトリンの作用は心臓神経節神経細胞の自発律動性ドライバー電位を活性化することによるということが明らかになった。また、プロクトリンによるドライバー電位誘発機構およびドライバー電位そのものの自発発生機構にはカルシウムイオンが不可欠であることが明らかになった。さらに、プロクトリンによる心臓興奮性作用にはサイクリックGMPではなくサイクリックAMPが介在することが明らかになった。
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