渦鞭毛虫類は、細胞周期を通じて正の固有複屈折を示す染色体をもつ。これを指標に、渦鞭毛虫類の系譜を検討してみた。 1.渦鞭毛虫類の核は様々な形態に分化しているが、ヒストンが総ての系統で欠失していることを確かめた。 2.これ迄、ヌクレオソーム構造が欠けていると報告されていたが、ヌクレオソーム様のラセン構造が核の基本構造を作っていることを確かめた。 3.培養法が既知のOxyrrhis marinaの大量培養を行い、この核成分のみからなる分画から、ヒストンに代わる強塩基性タンパク質を分離抽出した。このタンパク質のアミノ酸構成は独自であって、ウニ胞胚の塩基性核タンパク質や仔牛胸線ヒストンと全く異なる。分子量は23Kで、通常のヒストン分画と電気泳動的に比較しても共通する部分は無い。この塩基性タンパク質は全渦巻鞭毛虫類にほぼ共通しており、これが染色体の中核構造となってDNA複製を容易にしていると考えられる。このタンパク質の抗体生成は、ほぼ成功した。
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