研究概要 |
カエルの神経筋接合部での伝達物質の放出は、4つの因子(fast facilitation,slow facilitation,augmentation,potentiation)により調節されている。このなかでfast facilitationのみは活性帯へのCaイオンの蓄積で起こる事が知られている。しかし、他の3つの因子がどの様な原因で起こるかは、全く明らかになっていない。そこでこの原因を調べるために、どの様なイオンや化学物質がこれらの因子に影響を与えるかを調べている。 今年度は主にMgイオンの影響を調べた。Caイオン非存在下、Mgイオンの濃度を色々変えて、神経を高頻度刺激した後、微小終板電位の頻度を見てみると、Mgイオンの濃度が高いほどpotentiationの大きさが大きくなった。しかし刺激終了後、増加した頻度が元の頻度に戻る減衰の時定数には有意の差はみられなかった。 augmentationの方は、大きさがわずかに小さくなる傾向があった。次にCaイオン存在下、Mgイオンの濃度を色々変えて、神経を高頻度刺激し、その結果を終板電位の大きさにより調べた。Caイオン非存在下の微小終板電位の頻度の結果と同様に、augmentationの大きさは少し大きくなる傾向を示したが、potentiationの大きさは有意の差はみられなかった。おそらくこれは刺激の条件が穏和なためであろう。またslow facilitationの大きさも、Mgイオン濃度と共に少し小さくなった。このようにMgイオンの濃度は、この3つの因子の大きさに幾分影響を与えることがわかった。またSrイオンやBaイオンも現在調べているが、これらもpotentiationやslow facilitationに影響を与えることがわかった。引続き2価イオンの影響を調べていくつもりである。
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