研究概要 |
カエルの神経筋接合部で神経を連続刺激すると伝達物質の放出の増大が起こり、それは時定数の異なる4つの成分(fast and slow facilitation,augmentation and potentiation)からなっていることが知られている。また一方開口放出のいろいろの段階に働くタンパク質が多数知られている。これらの増強の各々はこれらいろいろの段階のタンパク質に影響を及ぼすことによって起こっていると考えられる。 そこでこの4つの因子の各々にどのようなイオンが影響を及ぼすかを研究した。Caイオンについては以前報告しているので、この3年間は主にMgイオンそしてその他の2価の陽イオンについて研究した。 高濃度のMgイオン存在下のリンガー液中で実験し、低濃度の時と比較すると、20Hz・450回の神経の連続刺激ではaugmentationを抑えたが、potentiationには影響を与えなかった。これは終板電位の大きさ・微小終板電位の頻度どちらでも同じ結果となった。しかしもっと激しい条件で刺激すると、すなわち100Hz・5000回刺激では、微小終板電位の頻度で観察すると、augmentationを抑え、potentiationを促進するという結果を得た。このことからMgイオンはaugmentationに対しては抑制的に、potentiationに対しては促進的に働くことがわかった。 またNiイオン存在下で終板電位の大きさを調べるとpotentiationを著名に大きくし、Srイオンはslow facilitationに著しい効果を持っていることがわかった。
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