1.春期に沖縄本島において旅費、借損料、研究補助のための謝金等を使用して現地調査を行ない、スウイーピング法やシフテイング法を用いてクモ類を採集し、エチルアルコールで固定して標本を作成した。これらの標本は、国立科学博物館の現有設備を利用して、謝金や消耗品費を使用して、順次、ソーテイング、解剖、測定などの作業を進めた。そのほか博物館に保管されている各地の未整理標本の研究も平行して行ない、本研究と関連の深い比較材料について日本クモ学会誌Acta Arachnologica 第42巻に発表した。 2.国立科学博物館が北海道東部で行なった自然史科学的総合研究による調査で得られた標本の整理を行ない、フクログモ類(Clubiona)の6種の生息状況を明らかにした。そのうちの1種ウエノフクログモ(C.uenoi)は北海道で初めての記録となり、また1新種マユミフクログモ(C.mayumiae)を見出し、近似種との系統関係と分化について考察を加えた。この新種は従来大陸産の既知種に誤同定されていたものである。これらの分類学的な研究結果を「北海道東部から得られたフクログモ属(クモ目フクログモ科)のクモ類(英文)」と題した論文にまとめ国立科学博物館専報26号に発表した。この過程でデータの処理にパソコンを必要としたので、所定外の設備備品費より支出した。 最終年度への展望を含めた研究結果の検討のため、年度末に旅費を使用し九州大学において打合せを行なった。
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