研究概要 |
研究初年度は、沖縄本島本海岸における研究を行った。沖縄本島東海岸において、赤土粒子が、サンゴ礁に流出、拡散しているモデル環境となっている場所として、億首川河口域のサンゴ礁域を選んだ。ここで、保留系を設置して、サンゴ礁にどのように流出赤土がフラックスしていくのかを調ベた。 係留系には、濁度計とセジメントトラップをペアにして、表層付近と底層付近に係留した。同時に底層付近では、流速計を係留した。水深計も係留し、潮位変化も観測した。次の係留実験として、流速計とトラップの層序が採集出来るような、チューブ型のセジメントトラップを係留した。この係留は、台風の多い夏の数ケ月間行う予定であったが、第1回目の台風の襲来で、切り離し装置が誤作動し、浮上してしまったため、実験を中断したが、台風の巻き上げ作用で形成された層序をトラップとして採集することには成功した。 雨の影響,潮流,波や風によって堆積作用がどのように変化していくのかが、保留実験で、把握出来た。そして、サンゴの生育条件にとって危険となるような、濁度や、フラックス量がどのようなものであるかも把握することが出来た。濁度の状態からフラックス量を見積るためには、今後、現場粒子の沈降速度を直接測定する必要性があることが解った。 台風の通過により、底層で約50cm/secの流速が記録された。そして、この台風の巻き上げによる砂の層をトラップとして採集した。台風によるフラックス量は、平穏時のフラックス量の50倍以上であることが解り、流出赤土は、台風により、再懸濁され、相当量が、再移動、拡散していくことが解った。
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