近畿地方の新第三系、主として神戸市北方三田盆地の中新統神戸層群ならびに山陰グリーンタフ鳥取・北但・照來の各層群に分布する斜面変動地域を抽出して、基盤岩体の岩相・地質構造・地形特性(斜面形状・斜面長・傾斜・起伏量・谷密度等)、変動体の規模・形態・岩相・地下水の状況、災害の機模・要因・安定解析の手法・対策工等の資料を整理して、データベースとして構築した。 神戸層群は磔岩・砂岩・泥岩ならびに凝灰岩を主体とし、緩傾料の単斜構造を呈する小起伏山地を形成している。本域の斜面変動は主として泥岩・凝灰岩を基岩とした流れ盤タイプであり、緩斜面を形成して水田に利用されている。従来からの研究成果の精度をあげるため、斜面変動のデータベースを基に、斜面変動と基盤岩の岩相・地質構造との関係の総合解析を試みた。さらに、空中写真の判読とともに画像解析を実施して斜面変動地帯の地形・地質特性の解析を実施した。 山陰地域のグリーンタフ新第三系分布域である鳥取県東部から兵庫県北西部の地域では、中新統上部の黒色泥岩および鮮新統下部の凝灰岩・凝灰質泥岩の層準に多発している。これらの地層はしばしばモンモリロナイトを含み、その含水比が高くなると容易に軟弱化して徐動性の地すベりが発生する。地すベりの規模は、長さが200〜300m、幅が100〜200m、すベり面の深さが10〜20m程度である。地質構造とは密接な関係があり、規模の大きい地すベりの多くは流れ盤型の構造を示している。兵庫県北西部の丹土地すベりは、長さ800〜1000m、幅200〜500m、すベり面の深さ5〜20mの規模を有する大規模地すベりである。 この斜面変動データベースを解析して、斜面変動の特性を定量的に評価できる体制が整った。
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