研究課題/領域番号 |
04640715
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福沢 仁之 北海道大学, 理学部, 助手 (80208933)
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研究分担者 |
中川 光弘 北海道大学, 理学部, 助手 (50217684)
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
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キーワード | 千島弧 / 拡大 / 珪質頁岩 / 有機物 / 有機炭素量 / 深層水 / 反時計回り回転 / 千島海盆 |
研究概要 |
千島弧の背弧海盆である千島海盆の拡大形成にともなって陸上地質に記録されたイベントを検討するために、北海道東部の陸上第三系達媚層・津別層の粘土鉱物組成、シリカ鉱物組成、有機炭素量、炭酸塩炭素量、硫黄量、ケロジェンのCHNO元素組成を調査した.その結果、周辺地域との凝灰岩の対比に基づいて得られた堆積年代との比較から、陸上高等植物起源有機物に比べて、海洋プランクトン起源有機物の比率が顕著に増加する層準が認められ、その年代が27.4Ma前後であることが明らかになった.このことは海洋における生産性が27.4Ma前後で急激に高まったことを示しており、海洋生産性を支える植物プランクトンの大繁殖、ひいてはその繁殖を規制する栄養塩類の供給が増加したことを意味する.栄養塩類の増加を引き起こす原因としては、陸上気候の乾操化に伴う有機物の風化と海洋における深層水の侵入・出現が考えられるが、達媚層・津別層の花粉群組成は陸上気候の変動を示していない.このため、深層水の侵入・出現が原因と考えられる.現在、オホーツク海において、深層水が存在するような深海性の海盆は、千島海盆のみであり、この27.4Maにおける深層水の出現は千島海盆が古第三紀にすでに存在していたことを支持する.同時に行った古地磁気測定結果として、達媚層の下位の陸別層・若松沢層の西偏60゚、達媚層・津別層が東偏40゚、津別層の上位の網走層が西偏20゚の値が得られている.前述の有機物組成の結果と併せて、千島海盆の拡大を伴う千島弧の反時計回り回転が30Ma前後に、千島弧スリバーの西進が18Ma〜12Ma前後に生じたことが明らかになった。
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