研究概要 |
保存状態良好な関東山地,東南アジアタイ・マレーシア国の古生代Spumellariaを中心に層序・分類学的な検討を行った。これまで古生代Spumellariaはその層序学的意義が軽んじられてきた。しかし今回の研究により層序・対比の上できわけて有効であることが明らかになった。カンブリア〜オルドビス紀の資料は本研究代表者の手許になく研究の機会はなかったが,シルル〜ペルム紀Spumellariaの層序学的検討結果の概略を述べる。シルル〜ペルム紀では現生Acthromidae科ときわめて類似した穀構造をもつInnanigtiidae科の放散虫が栄える。特にシルル紀ではその産出頻度は全体の6割をこえる。球型の穀の中に微細な針状骨格をもつEntactiiniidae科の放散虫はシルル・デボニ紀から特に豊富に得られる。しかしペルム紀には著しく衰退するが,今回の研究で本科はわずかながら三畳紀にも生存することが明らかとなった、hatentofistuliidae科の放散虫は石炭〜ペルム紀に大繁栄する。後期ペルム紀には頂点をむかえる。このように古生代Spumellariaの代表的3科は各時代により独特な群集構成からなることが明らかになり、その生層序学的重要性が増々高まった。次に今回の研究により明らかになった分類学的問題点について略述する。これまで古生代放散虫の代表的存在であったEntactiiniidae科は前述のようにSpumellariaに含められてきた。しかし、その内部骨格の配位はSpumellariaよりむしろNassellariaに近いものである。Nassellariaに含めるのか,あるいはEntactiiniidae亜目に含めるのが適当かさらに検討する必要がある。
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