研究概要 |
近年の中・古生代放散虫の生層序学的研究は日本を中心とした多くの研究者によりその概略が明らかにされた。しかしながら、古生代放散虫の分類については一部の分類群を除き依然としてその詳細は明らかにされていない。特に、Spumellariaの分類についてはかつてのHaeckel(1862)による機械的な分類方法がその基礎となっており、これまでに提示されている分類群についても多くの異論があり、意見の一致をみないのが実状である。本研究は本研究代表者がこれまでに確認した保存良好な放散虫を産する関東・足尾・美濃・南条山地のチャート層から古生代Spumellariaを抽出し、その分類を再検討しようというのが目的であった。本研究では野外調査で得た試料を走査電子顕微鏡・透過光顕微鏡を用い、形態的特徴およびその層序学的特徴を加味し、できる限り自然分類に近い分類体系を確立した。なお、本論ではこれまでの古生代Spumellariaの分類についての問題点も指摘した。以下本研究で明かになった古生代Spumellariaの新しい分類体系を科ごとに示す。 Suborder Spumellaria(1)Family Entactiniidae,(2)Family Palaeoscenidiidae,(3)Familylnanigut-tidae,(4)Family Latentifistulidae,(5)Family Ruzhencevispongidae,(6)Family Tormentidae,(7)Family Grandetortuliidae,(8)Family Secuicollactidae,(9)Family Paleocolosphaeridae 以上9科の内、(7)および(8)については本研究代表者が分類記載し提唱した分類群であり、(9)についてはこれまでに提唱されている分類群についてあらたに提唱した科である。
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