三次元ゼオライトフレームワークについて構造のコンピュータモデリングと熱的安定性について検討し、その結果を得た。 1)グラフ理論を基底とする同心置換クラスター概念はゼオライトフレームワークのキャラクタリゼーションや構築にきわめて有功であることが判った。この方法により、三次元フレームワーク構造を系統的に誘導することも可能となった。12種のFaujasite系ゼオライトのキャラクタリゼーションと誘導法について示した。 2)置換ノードマトリックス法によりLoewenstein則(Al‐Al対忌避則)を満足する三次元フレームワーク上でのAl分配法を示し、Simplex法との併用により観測NMRスペクトルの新帰属法を示した。また、合成試料についてこの方法を適用しDempsey則(Al‐Al第2近接最小則)の妥当性を確認した。 3)ゼオライトフレームワークの熱安定性をソーダライトフレームワークについて分子動力学法により検討した。その結果、熱安定性はフレームワークのトポロジカルな特性よりも、Si/Al含有量に大きく影響をうけること、また、ケージ内包有アニオン種の存在がフレームワークの安定性を高める上て効果的であることを確認した。 4)完全イオン性モデルよりも共有結合性を考慮した部分イオン性モデルが実測挙動を説明するようであるが、それでもまだ充分とはいえない。また2体中心モデルの他に3体中心モデルも考慮する必要がり、これらを含めてより一般的なポテンシャルモデルとそれらのパラメータの決定が望まれる。
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