研究課題
花嵐岩の黒雲母中のアンモニウム含有量は堆積岩と反応した花嵐岩でより高い傾向があるので、アンモニウム含有量は花嵐岩マグマが堆積岩と関与したかどうかの有効な指標であると考えられる。そこで飛騨帯の灰色花嵐岩、領家帯の古期花嵐岩および日高帯の変成岩類、南極の花嵐岩、変成岩のアンモニウム含有量を分析した。また、アンモニウムと他の元素との関係をみるために島根大学の蛍光X線を用いて、主要および微量元素の分析を行なった。その結果、飛騨帯の灰色花嵐岩のように、堆積岩の花嵐岩化作用で形成されたものはきわめて高いアンモニウム含有量をもつこと、ミグマタイトも同じ理由で高いアンモニウム含有量をもつに至ったと考えられる。また、領家帯の変成岩は高いアンモニウム含有量を有するが、より変成度の高い飛騨帯や南極のものでは低いアンモニウム含有量を有し、変成温度の上昇が黒雲母中のアンモニウムを逸散させることが判明した。また、日高帯の非変成帯の堆積岩から低変成度の岩石をへて、高度変成のグラニュライトと系統的に変成度が上昇するサンプルのアンモニウム含有量を測定した。その結果、大きくは変成度が上昇するにつれアンモニウム含有量が減少し、アンモニウム含有量が変成度の目安として使用できるめどがついた。さらに、アンモニウムはKやRbと正の相関をきたし、Kを置換して黒雲母やK-長石中に入る可能性が明かとなり、今後、さらに微量元素との関係について検討する必要があることが判明した。
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