研究概要 |
1.日高帯の非変成帯の堆積岩から低変成度の岩石をへて,高度変成のグラニュライトと系統的に変成度が上昇するサンプルのアンモニウムの含有量を測定し,変成温度とアンモニウム逸散との関係を検討した.その結果,累進変成作用が進むにつれ,岩石に含まれる黒雲母中のアンモニウムは系統的に減少すること,特に,グラニュライト変成作作用で急激に減少することが明かとなった.このことから,アンモニウム含有量が変成度の指標となることが明かとなった.2.領家帯の古期花崗岩や飛騨帯の灰色花崗岩など堆積岩を同化し,岩崗岩から変成岩へ連続的に移り変わる所において,アンモニウムは著しく濃集することが明かとなった.この現象は変成岩から逸脱したアンモニウムが流体物に濃集し,それが花崗岩へと添加されたことを示している. 3.山陰・山陽帯・領家帯の花崗岩の黒雲母のアンモニウム含有量を測定し,これら各帯でアンモニウム含有量に差異があることが判明した.領家帯では古期花崗岩と新期花崗岩の間でアンモニウム含有量に差はほとんどなく,変成岩との反応は軽微であることが明かとなった.
|