2価のEuを含むKCl単結晶に紫外線を照射し、その後の加熱により熱蛍光の測定が可能である。実験結果より測定可能な波長範囲は200nmより感度は低いが320nm付近までである。しかし、測定の前には温度約700℃で30分間不活性ガス中で熱処理を行いその後、室温まで急冷することにより熱蛍光(TL)の強度が約1桁大きくなることが判明した。また、試料作成直後では熱処理の効果が期待できないことから、室温で試料を保管することによりEuの凝集体が試料中に生成し、できた凝集体が熱処理によって分散することにより熱蛍光強度が増すものと考えられる。KCl:Eu結晶の紫外線照射によって熱蛍光が測定可能な波長範囲は約200nmから310nmの範囲で250nmが一段と高感度であるとの結果も得られた。しかし、290nmより長波長側では感度が低くなっている。このことが太陽光にたいする感度の低下に関与しているものと考えられる。この長波長側の感度をあげる方法として長時間のアニールが有用であると思われる。また、今回Euの濃度を少なくした結晶(濃度は約100ppm)を作成し実験に用いた。この結果大学の屋上で太陽光を照射して弱いながら熱蛍光の測定に成功した。
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