研究概要 |
前年度においては,Yb^<3+>増感,Er^<3+>,Tm^<3+>活性化フッ化物ガラスを中心とした赤外可視変換材料の980nm発振半導体レーザ励起下の特性,特にデバイス構造に関する最適化の条件を明らかとなり,比較的簡単な指針の形に括め上げることが可能となったので,今年度においてこの問題についての発表を行った。今年度中,主として取り上げたテーマは次の通りである。1)フッ化物単結晶の成長 2)赤外可視変換過程を支配する各種パラメータの決定 3)かかる結果を利用し赤外可視変換材料とデバイスについて最適化指針の決定と到達可能限界の探究 4)今後発展が予想される赤外励起可視発振レーザ実現のための問題点の探究 この内,結晶の製作については,種々の濃度の希土類イオンをドープしたYF_3,BaY_2F_8,LiYF_4などの単結晶の製作を試み,ZnF_2をフラックスとして使用し1100℃付近から徐冷することによって数mm程度の透明な単結晶が得られることを明らかにした。この中でYF_3単結晶の成長に関してはこれまで成功例の報告が少ないため特に有用であると考えられる。これらの結晶材料…以前より研究してきたフッ化物ガラスを含む…に特有なパラメタ…輻射,非輻射減衰速度,エネルギー伝達係数など…の決定を行ないつつある。これまでの結果は,輻射および非輻射減衰速度は結晶の方がガラスより大きく,エネルギー伝達係数は結晶の方がガラスより小さく,フッ化物結晶相互間の開きはあまり大きくないことなどが判明している。かかる実験は現在なお継続中であるが,ほぼ年度内に成案をみるものと考えられる。赤外励起・可視発振レーザ実現のための問題点を明らかにするため,材料・構造・励起方式の諸側面についての実験を開始した。
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