研究課題/領域番号 |
04650029
|
研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
永守 知見 有明工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (90110204)
|
研究分担者 |
石崎 勝典 有明工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (20044331)
|
キーワード | 超薄膜 / 蒸着 / 誘電率 / 相転移 / VDF / TrFE / 分子配向 / D-Eヒステリシス法 / FT-IR |
研究概要 |
本研究では、有極性超薄膜の分子配向制御の手法の確立、ならびに、非接触型の電極を用いた超薄膜の電子物性の評価技術の確立を目的とした。 試料として強誘電性のP(VDF/TrFE)などを用い、有機超薄膜の作製法としては真空蒸着法により行なった。極性物質では、その機能を発現させるためには双極子配向が必須である。そのため、基板に蒸着直後でまだ不安定な分子に最大で30MV/m程度の直流高電界を印加することにより、配向制御を試みた。また、蒸着膜のように膜厚(最大で400nm)が薄くなると、試料の上に電極を蒸着する際に電極間の短絡が生じ、その電子物性を調べることは困難である。そこで、超薄膜用に設計した非接触型の電極を購入したイオンスパッタリング装置を用いて構築した。電子物性の評価法としては、LCZメータによる誘電率の温度変化の測定および強誘電性の判定の手段の一つであるD-ELステリシス曲線の測定により行なった。(永守) また、側面的にFT-IRを用いて結晶構造、相転移挙動ならびに分子配向性を調べた。(石崎) D-E測定法により、抗電界の絶対値は得られなかったものの、高電界を印加して蒸着した試料のみヒステリシス曲線が観測された。また、誘電率の測定結果からも同様に、電界印加の試料のみキャストフィルム試料とほぼ同じ温度で強誘電・常誘電相転移を示すピークが観測された。これにより、電界による配向制御が確認され、非接触電極構造を使う本測定法が電子物性を調べる有効な手段となることが確かめられた。また、FT-IRの結果からは、強誘電性相転移はNaCl、CaF_2基板などの基板の種類により影響を受けていることが確かめられた。
|