研究課題/領域番号 |
04650030
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
伊東 芳子 理化学研究所, 核化学研究室, 先任研究員 (90087429)
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研究分担者 |
村上 英興 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30011000)
中西 紀喜 理化学研究所, サイクロトロン研究室, 先任研究員 (90087388)
安部 文敏 理化学研究所, 核化学研究室, 主任研究員 (50087491)
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キーワード | 陽電子消滅寿命 / 陽電子消滅ドプラー広がり / GaAs結晶欠陥 / 低速陽電子線 |
研究概要 |
1.GaAs結晶中低濃度格子欠陥の陽電子消滅寿命及びドプラー広がり測定法により以下のことを明らかにした。 (1)電子線、陽子線を照射した無添加及びSi添加GaAs結晶中欠陥の回復過程と低温での温度依存性をしらべた。 無添加結晶では420Kで欠陥は集合し、クラスターを作り、750Kで消滅することがわかった。 (2)Si添加結晶では無添加結晶より回復が約50K遅れることから複合欠陥(SiV_<Ga>)の可能性が示された。 (3)結晶の引き上げ中に生じる低濃度の欠陥についてもしらべ、Ga-rich引き上げ結晶終端部では欠陥が増加し、AsH_3雰囲気熱処理によりそれが影響を受けることがわかった。 2.Si結晶中の微小欠陥の性質本方法によりしらべた。 (1)高温(750K)で陽電子寿命を測定し、不純物酸素が欠陥発生に関与することがわかった。より高温(1500K)測定が必要であることがわかり、計画中である。 3.発光材料として注目を浴びている多孔質Siの構造評価を本方法により行った。 (1)作成条件の違いによる多孔度の変化と孔の大きさ及び、数の関係を明らかにした。 (2)多孔質層表面に存在する微小孔に吸着している水素はポジトロニウムの形成を抑制することがわかった。 4.陽電子線源の開発 (1)低速陽電子線発生のための装置を設計製作し、AVFサイクロトロンのビームライン(E7)に装着した。 低速陽電子発生装置を用いた半導体表面の研究はバルクの低濃度欠陥の研究とともに今後重要になると思われるが、これ自身大きなテーマであり、多額の研究費を必要とする。短半減期核種を用いる低速陽電子ビームの高強度化が実現すると現在まで困難とされていた陽電子顕微鏡へと展望が開ける。
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