研究概要 |
画像等の空間信号のウィグナー分布関数を実現する光情報処理システムを設計,製作し,その特性を考察した.ただし,2次元画像信号のウィグナー分布関数は4次元の座標空間上の関数であり,物理的に実現不可能である.このため,1次元画像のウィグナー分布関数を2次元平面上に実現する光学系を開発した. さらに,このシステムの画像入力装置として液晶空間光変調素子を用い,コンピュータからの出力画像やビデオカメラで検出した画像を高速にウィグナー分布関数に変換する方式を実現した.このシステムでは,液晶空間光変調素子への書き込みに先だってコンピュータによる画像の前処理ができるメリットがあり,それによってウィグナー分布関数の画質を向上させることができることが分かった。 開発したシステムを,スペックル写真法におけるスペックルグラムの解析に応用した.ビデオカメラと液晶空間光変調素子を組み合わせることにより,物体の二重露光スペックル写真(スペックルグラム)を容易にウィグナー分布関数に変換できることが示された.また,それにより,物体表面の空間的な変位分布を並列的に瞬時に表示できることを示した. つぎに,時間信号のウィグナー分布関数を実現する光情報処理システムを開発するための基礎的検討を行った.すなわち,空間信号のウィグナー分布関数を実現する光学系の入力面に,音響光学素子を配置し,それに時間信号を入力することにより,時間信号を光学的に実時間でそのウィグナー分布関数に変換することができることを確認した.
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