研究概要 |
ウィグナー分布関数を光学的に実現することにより,時間信号および空間信号の局所的周波数解析を並列的に瞬時に行う手法を開発するとともに,それをスペックル写真法におけるスペックルグラムの解析に応用した.また,研究が当初の計画に比べて早く進展したため,ウィグナー分布関数の概念を情報処理光学系の設計に応用する方法についても研究を行った.次に,具体的成果を示す. 1.液晶空間光変調素子を入力面に用い,コンピュータからの出力画像やビデオカメラで検出した画像を高速にウィグナー分布関数に変換する光情報処理システムを開発した. 2.開発したウィグナー分布関数光学系をスペックル写真法におけるスペックルグラムの解析に応用し,物体の局所的な変位分布画像を高速に作成できることを示した. 3.ウィグナー分布関数光学系の入力面に一つの音響光学素子を配置することにより,ビデオ信号などの時間的信号のウィグナー分布関数を実現するための光情報処理システムを実現した. 4.ウィグナー分布関数が信号の空間と空間周波数の振る舞いを同時に表現するという特性に基づいて,光情報処理におけるBanyan,完全シャッフルおよび循環シフト光接続のための位相フィルタの新しい設計法を提案し、これらの位相フィルタを計算機ホログラムとして製作した. 5.上述の光接続法の手法をさらに発展させ,光ニューラルネットワークにおけるシナプス接続のためのコンパクトな光学系,および行列・行列積を行う光演算光学系を提案し,それらの有効性を実験的に示した.
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