研究概要 |
レーザーからの2光束(一方をポンプ光、他方をプローブ光)を非線形光学物質である色素膜に交差入射させて、プローブ光透過光強度を検出する。その際、一方の光波の周波数をずらして、物質内に形成される非線形格子を移動させる。2光波の間で結合を生じ、一方の光束から他方の光束へとエネルギーが流入する。 プローブ光強度の格子の移動速度や移動方向の関数として調べると、移動方向に対して透過強度の対数の対称成分は吸収型格子による次の非線形感受率の虚部X″に比例し、また透過強度の対数の反対称成分は屈折型格子による3次の非線形感受率の実部X′に比例する。 この原理から実験と理論のカーブフィティングよりX′とX″を求めることができる。 この方法により、メチルオレンジ含有ポリビニールアルコール膜における非線形感受率の実部と虚部の吸収中心より長波長域での波長依存性を測定した。X″の値は負であり、吸収中心波長から長波長側にずれるにしたがって1X″の値は減少する。またX′の値も負であり、その絶対値は吸収中心からはずれた波長域(488nm)で最大となり、その両側で減少する。このことは位相共役波の発生実験からも定性的に説明される。X′,X″〜-10^<-10>m^2/V^2のオーダであった。 さらにこの方法により、キサンテン系やアクリジン系の色素膜についても非線形感受率の値を求めた。 この2光波結合法ではX′,X″の符号とその値を求めることができるので、3次の非線形感受率の測定には有用な方法である。干渉縞の移動にPZT駆動素子を使用した。
|