研究概要 |
日本基礎研究所の外村氏のグループが電界放出型電子銃を用いて作成したMgO微結晶の電子線ホログラムを名古屋大学大型計算機センターの画像処理システムFIVISを用いて画素数1024×1024でサンプリングし,まず従来の方法,即ち搬送空間周波数の1/3の領域のスペクトルを用いて数値的に再生像,位相像及び干渉顕微鏡像を得た。つぎに上記のサンプリングデータに電子線バイプリズム干渉縞と垂直な方向に干渉縞の1ピッチ分の平均化操作を行うことにより,電子線のインコヒーレント照射下でのホログラムと等価なホログラムを得た。このホログラムではバイプリズム干渉縞が消えており,このホログラムデータと上記のホログラムデータの減算処理を行って自己相関スペクトルの影響をほとんど取り除いたホログラムを得た。そして,搬送空間周波数を上限スペクトルとする周波数拡張した再生像,位相像及び干渉顕微鏡像を得た。これらの結果を上記の従来の方法による結果と比較検討した結果,コントラストのよい再生像が得られることが判ったが,像の中に新たに干渉縞模様が出現した。そこで,減算処理後のスペクトル分布の軸上(バイプリズム干渉縞と垂直な方向で)原点近くから搬送空間周波数の若干手前までをスクリーンすることにより干渉縞模様も消失し,良好な像が得られることが判った。現在,この操作による影響について検討中である。なお,バイプリズム中央電極での電子波の回折で起こるフレネル回折縞の影響を完全に取り除くことはできなかったが,この点については試料のない時のホログラムとの減算処理で解決できるはずで,次年度検討する。
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