(イ)プラズマ発生用マイクロ波共振器の内部電磁界強度の有限要素法による計算 従来マイクロ波誘導プラズマ光源(MIP)でで問題となっていたプラズマの管壁への接触によるプラズマの不安定性、管壁の消耗・熱損傷を防ぎ、かつ安定なプラズマを管中央に保持するための新しい可変内径型プラズマ管を提案した.さらにこのプラズマ管を挿入したTMモード共振における共振器内部の電磁界強度の分布を、プラズマ管形状および誘電率をパラメーターとして、詳細に計算した.その結果、誘電率3程度の溶融石英製管(内径2mm〜4mm、外径6mm)とし、内径の不連続変化位置を共振器軸中央とした場合、その点における電界強度は直管の場合に比べて数十%増加することが分かった.このことはプラズマの管軸中央への収束、点火の容易さおよびマイクロ波とプラズマのカップリングの向上を意味する.すなわち低電力での安定なプラズマの生成を示唆している.さらに電界強度を大きくするためには誘電率の大きい材質のプラズマ管(例えば誘電率8のアルミナ)を使用したほうが良いことが計算結果から分かった. (ロ)MIP用円筒型共振器の試作と基礎的分光特性の測定 上記計算結果を参考にしてプラズマ生成用マイクロ波共振器の設計・試作を行ない、プラズマの安定性の検証と分光特性の基礎的な測定を行なった.プラズマ管として上記形状の石英管を、プラズマガスとしてアルゴンを用いた.予測どおり20W以下のマイクロ波電力でも安定に、管軸上に添った非接触プラズマの発生が確認された.60Wの電力における電子密度は1.4x10^<15>/cm^2、イオン化温度、励起温度、分子回転温度はそれぞれ7200K、3800K、1300Kであった.
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