研究概要 |
レーザーのエネルギー密度はマイクロ波のような電磁波に比べ格段に大きいため,これを加速器へ利用する研究が行われつつある.この研究の目的は,レーザービームの有限性から導出される縦電場に電子を共鳴的に作用させ,電子加速を実現することであった.以下に本研究の成果を示す. ・これまでスカラー場として扱われてきたガウス型レーザービームの全電磁場成分を,ベクトル的な計算から導出できた. ・ビームの軸上で縦電場成分が最大となるTMモードを使って電子加速を実現した. ・この縦電場成分と相互作用する電子は加速され,正味のエネルギー利得はビームの横電場成分とウエスト幅の積で与えられる. ・最大出力が10^<14>ワットの炭酸ガスレーザーを利用すると,電子のエネルギー利得は約数十MeVとなり,現在の線形加速器を凌ぐ加速勾配となる. レーザーの縦電場による電子加速の機構を明らかにしたことによって,コンパクトな新方式加速器の研究・開発に新たな可能性を示すことができたことは,この研究分野において大きな意味を持っている.
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