研究概要 |
レーザーのエネルギー密度はマイクロ波のような電磁波に比べ格段に大きいため,これを加速器へ利用する研究が行われつつある.この研究の目的は,大出力レーザービームの有限性から導出される縦電場に電子を共鳴的に相互作用させ,電子加速を実現することであった.以下に本研究で得られた成果を示す. ・これまでスカラー場として扱われてきたガウス型レーザービームの全電磁場成分を,ベクトル的な取り扱いによる計算から導出できた. ・ビームの軸上で縦電場成分が最大となるTMモードを使って電子加速を実現した. ・この縦電場成分と相互作用する電子は加速され,正味のエネルギー利得はビームの横電場成分とウエスト幅の積で与えられる. ・最大出力が10^<14>ワットの炭酸ガスレーザーを利用すると,電子エネルギー利得は約数十MeVとなり,現存の線形加速器を凌ぐ加速勾配となる. レーザーの縦電場による電子加速の機構を明らかにしたことによってコンパクトな新方式加速器の研究・開発に新たな可能性を示すことができたことは,この研究分野において大きな意味を持っている. この研究成果は,日本物理学会のジャーナル誌(J.Phy.Soc.Jpn.)1994年3月号に掲載予定である.
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