これまで実験と数値解析の両面からパルスジェットの研究を進めてきたが、実験においては、パルスジェット着火装置を装着したこの種の実験装置としては大型の燃焼容器により、主燃焼室における着火状況をシュリーレン写真で観測した。パルスジェットによる主燃焼室での希薄なメタン/空気混合気体の着火は、当初予想していたように、全体像としては乱流混合を伴った着火を示していたが、シュリーレンシステムの精度の悪さおよび大型の燃焼器のために、詳細な観測ができなかった。この点については、平成6年度に詳細な観測ができかつ水素燃料を燃やせるように現在よりサイズの小さくより丈夫な燃焼器を製作中で、LIF等のレーザーを使った可視化実験を行う準備を進めている。 数値解析による研究は、詳細な酸水素の反応機構をつかって直接的にパルスジェットをシミュレーションし、パルスジェット着火装置の副燃焼室ならびに主燃焼室の乱流予混合火炎の詳細な振る舞いを解析することができた。この解析で判明した重要な結果は、副燃焼室および主燃焼室内において層流火炎が、発生した圧縮波とのバロクリニック干渉で変形してゆき、その変形がさらに小さい局所的な渦を発生していくことである。この局所乱流における火炎の振る舞いが、最小50μmという格子サイズによる計算で明らかにされた。主燃焼室でのさらに詳しい解析が、現在行われている。これらの数値解析の結果は、いくつかの会議ならびに学会誌で報告されたかまたはされる予定である。
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