本研究の3年目は、パルスジェットの数値シミュレーションをまとめる事と、出来ればレーザー誘起前期解離蛍光法(LIPF)によりパルスプラズマジェットの着火機構を解明する事を目的としていた。内径10x10x10cm^3の燃焼容器に当量比0.7のメタン・空気混合気を入れ、パルスジェット着火装置には当量比1.5のメタン・空気混合気を満たして着火させた場合のシュリーレン写真とLIPFの二次元の前期解離OHの分布を得た。これらの可視化計測による結果から、着火条件によってはパルスジェット着火装置内で生じた火炎がオリフィスを通って主燃焼室で消炎し、主燃焼室に分布したOHラジカルが花火のように点火するという現象を捕えることが出来た。この現象は、これまでに多くの研究者達によって予測はされてきたが、事実を捕えたのは今回が初めてである。 この実験結果と同じ条件で二次元軸対称による数値シミュレーションを行ったが、パルスジェット着火装置内の着火状況が同じではないなどの理由により、ジェット火炎の伝播で計算結果が実験よりも速いという結果を示した。この他に実験で見られた花火のような再着火が計算では再現出来なかった。この再現出来なかった点が、今後のシミュレーションの重要なポイントになる。化学反応機構と計算格子などが、再考される重要な項目となると考えている。その他、乱流のシミュレーションも重要なポイントになるであろう。今後の研究としては、乱流のシミュレーションと化学反応とのカップリングが焦点となると考えている。 これらの結果から考察すると、パルスジェット着火の方法は工学的にも有効な着火方法の一つであることが確認できた。これからは、この方法によって着火の制御などを考えていく必要があるであろう。
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