航空機等の複雑形状まわりの空気流数値計算法として、プリズム状の格子を用いた新しい計算法の精度検証および高精度解法の研究を進めた。具体的にはボーイング747型機の翼胴モデルまわりの遷音速高レイノルズ数流れをプリズム格子法で数値計算し、翼面上の圧力分布を風洞実験値と比較して精度検証を行った。結果は本研究で提案した計算法が、比較的少ない格子点数でもおおむね妥当な精度を持つことを示したが、翼後縁近くにおいては計算値と実験値とのずれが大きくなることも明らかになった。これは、プリズム格子法では後縁を包む形で覆うために後縁からの伴流を十分捕らえていないことが主な原因と思われ、翼後縁部の格子密度及び翼伴流部の数値計算上の取り扱い方法を検討する必要があることが明らかになった。 また衝撃波や境界層剥離等の解像度を上げる方法として、プリズム格子における表面非構造格子の利点を利用した解適合格子細分化を組み入れる方法を学会発表にて提案した。この解適合格子の導入により、精度上も計算効率上も優れた計算法が構築できよう。 準非構造格子法とともに従来の構造格子法でもって複雑形状を扱う方法として、領域分割法を発展させた「粗い格子」による計算法の概念検討を行った。これは、粗い格子の各セル内の精度を計算結果に応じて上げる計算方法で、複雑形状に対応しやすい利点とベクトル化や並列化での不利な点について検討した。
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