研究概要 |
航空機等の複雑形状まわりの空気流数値計算法として提案したプリズム格子法について,本年度はその方法をより実用化するための研究を進めた.一つは,三次元複雑形状物体まわりの数値解析をより容易にかつ精度良く行うために,三次元物体表面上に非構造格子を形成する方法についてである.従来,表面非構造格子の形成には,写像関係を用いて三次元表面を二次元平面に写像し,平面上で格子形成を実行してきたが,複雑形状問題では物体面定義や格子密度制御の点で実用的ではない.ここで提案する方法は,物体面に逐次前進法で直接格子を生成する手法で,複雑な形状に対して表面の曲率をモニターして格子の密度を制御し,かつ様々な物体面定義を取り込めるようにしたものである.このことにより,より正確に複雑物体形状を表現でき,このことは高い精度を要求される航空機まわりの数値解析には重要である.この成果は米国航空宇宙学会CFD会議にて発表する. 高精度解法の研究については,プリズム格子に有限体積法に基づいて流束差分割法を適用した計算法を構築した.これを用いてボ-イング747型機の翼胴モデルまわりの遷音速流れを数値解析し,翼面上の圧力分布を風洞実験値と比較して計算法の精度検証を行った.この計算手法は,格子セルの辺を基準にして流束を計算するため任意の格子セル形状に対応が可能であり,より複雑な形状問題におけるプリズムと四面体の2種類のセルを用いる計算法への拡張が可能である. 四面体による完全非構造計算法については,最も重要な点は三次元空間に非構造格子を如何に形成するかであり,その研究にも着手した.ここでは格子形成の効率よさからデロ-ニ分割と空間前進法とを組み合わせた手法を考案し,平成8年に行われる国際学会(第6回ISCFD)に講演投稿をしている.
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