本年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)現有の簡易オートクレーブに若千の改造を行い、CFRPのジュール加熱成形ができるようにした。既存の装置は、加熱したアルミ板に成形材料であるプレプレグ(繊維に樹脂を合浸させた薄いシート)を密着させ、熱伝導により加熱させる方法であったが、カーボンプリプレグに直接通電し、ジュール熱を発生させるようにした。 (2)炭素繊維およびそのプリプレグの電気抵抗を測定し、ジュール加熱成形の可能性を検討した。 (3)熱硬化性のCFRP(T300/エポキシ)の成形を行い、成形品の評価試験を行った。成形にあたっては、プリプレグと導線の接触抵抗が問題となり、各種結線方法を検討し、最適条件を探した。成形品については、電気容量の関係で、50mm×150mm程度の大きさのものしかできていない。またこのジュール加熱のためには、炭素繊維の電気抵抗はやや小さすぎ、瞬時に発熱するため、電源のon‐off装置にかなり無理がきた。 成形品の評価は曲げ試験によって行ったが、まだ特性は安定していない。しかし良好な成形品はオートクレーブ成形品に比べ、ヤング率で 97〜120%、強さで78〜90%であった。まだ不十分ではあるが、CFRPのジュール加熱成形の可能性は一応見出されたと考える。 成果は投稿準備中である。 (4)熱可塑性のCFRTPの成形装置の設計を行い、完成した。現在性能試験中で、本格的な実験は来年度になる。熱可塑性のプリプレグは、現在候補を選定中で、一部は発注した。
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