研究概要 |
1.変動風に対処するに十分な運動性,安定性をもつハイブリッドLTAの開発を目的とし,偏平な外形をもつハイブリッドLTAのラジコン模型2種を試作した。一つはドーナツ型のエンベロープの中心部に逆回転する2個のロータを上下に配置した同軸ロータ式のもの,他の一つはゴムボート様の中空長円形のエンベロープの内部に逆回転する2個のロータを前後に並べたタンデムロータ式のものである。 2.まずヘリコプタと同様なロータ・ブレードのサイクリック・ピッチにより模型の姿勢と位置を制御する方法を試みたが,それでは制御トルクが不足することが分かった。それで大きなエンベロープをもつLTA全体の姿勢を変えないで,ロータの回転面だけを傾けて位置制御が行えるように機構を改造した。方向転換は,同軸ロータ式では上下のロータの回転数調節により,タンデムロータ式の場合は二つのロータを左右に逆に傾ける(一つのロータを傾けるだけでもよい)ことによった。 3.以上の改造により運動性が向上し,8字飛行も可能となったが,操縦性が良いとはいえなかった。なお飛行実験は屋内で行った。 4.上述の実験と並行して,エンベロープの動的空気力特性を調べるために,その風洞模型とストレンゲージ式の揚力,抗力測定用天秤を製作し,風洞実験を行った。その結果,空気抗力はドーナツ型の方がやや小さかった。模型にはロータは付けていなかったが,ロータが回転すると抗力にも影響があると思われるので,なお研究の要がある。 5.サイクリック・ピッチ機構による制御はヘリコプタの技術がそのまま使える利点があるが,飛行実験結果からは,それがハイブリッドLTAの制御法として最良とは考えられなかった。来年度は4個のロータの回転数調節による制御法を研究し,推進用プロペラも加えて飛行特性を向上させ,屋外の飛行実験も行えるようにする計画である。
|