研究概要 |
炭素繊維、チタン酸カリウムウイスカーの表面にNi膜を無電解メッキによって被覆することを、メッキ条件を3種類に変えて行い、ニッケル膜の成膜状況を走査型電子顕微鏡、XPS,AESの分析機器によって調査した。その結果、繊維表面にほぼ均一にニッケル膜が形成される条件を把握した。次に、これらの繊維を混合した複合材を開発することにした。その前段階として、銅粉末粒径を2種類に変えてチタン酸カリウムウイスカーを混合割合を変化させながら混入し、HIP処理によって銅基複合材を成形した。これらの複合材の引張強さはチタン酸カリウムウイスカーが5%までは増加し、それ以上になると逆に低下した。また銅粉末粒径が250μmから30μmまで低下すると、引張強さは増加した。伸びは、ウイスカーの割合が増加するにつれて急激に低下した。摩擦摩耗特性も併せて調べた。負荷が大きいと、アブレシブ摩耗を示し、ウイスカーが摩耗量を増加させる効果を果し、負荷が低いとウイスカーの低摩擦係数の特徴を生かして摩耗量は低下した。 炭素繊維複合材の実用例としてマウンテインバイクフレームを取り上げて、その剛性を鉄フレームのそれと比較して、CFRPの軽量高剛性なことを確認した。 イオンビームを使ってセラミック薄膜を合成する条件を求め、薄膜が積層化されることによって疲労特性、摩擦摩耗特性に与える影響を検討した。積層化膜は疲労強度と疲労寿命を向上させるが、層間のはく離が生じるために摩耗量は逆に増大した。
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