超硬質膜であるダイヤモンドおよび立方晶窒化ほう素については、本学で確立している薄膜形成技術を活用し試験片を作成し、摩擦力顕微鏡を用いたnN荷重領域における摩擦力の特性を明らかにした。ダイヤモンド、立方晶窒化ほう素と同じ組成を有し、結晶構造の異なる、黒鉛、六法晶窒化ほう素について結晶構造に対する原子像を得、その微小荷重領域における摩擦特性を明らかにしつつある。これらは固体潤滑性を有しており、ダイヤモンド・立方晶窒化ほう素の低摩擦化に対する有意義な知見が得られると期待される。また、μN〜Nの広範囲の荷重におけるダイヤモンド薄膜の摩擦特性を求めた。この結果マクロ荷重領域では摩擦係数が0.1以下の値を示すのと異なり、荷重減少にともない摩擦係数は急増することが明らかになった。 マイクロ摩耗については原子間力顕微鏡を用いた原子オーダの摩耗特性を明らかにした。これらの結果からダイヤモンドならびに立方晶窒化ほう素は優れた耐摩耗性を示す事が明らかになった。ポリシングしたCVDダイヤモンド薄膜については、マイクロ荷重領域における優れた耐摩耗性を確認できた。 ダイヤモンド表面のフッ素化・グラファイト化およびcBN表面のhBN化など、超硬質膜表面に低表面エネルギー層、および潤滑層を形成する技術を開発するためダイヤモンドについてCF4プラズマ処理と窒素イオン注入を行い、一部摩擦力の低減効果を確認しつつある。
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