情報機器で問題となるマイクロトライボロジー特性に優れた表面構成として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜・ダイヤモンド膜・立方晶窒化ホウ素膜などの超硬質膜を取り上げ、形成した。さらに低摩擦特性を付与するため、それらの超硬質膜についてプラズマによるフッ素化、イオン注入処理などの表面改質を行った。これらの試験片について走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いnN〜N荷重領域の摩耗試験および摩擦試験を行い、マイクロトライボロジー特性を明らかにした。 主な結果を以下に示す。 1.DLC膜についてシリコン含有、窒素含有によってマイクロ摩耗特性は著しく改善される。さらに表面のフッ素化によりマイクロ荷重領域における摩擦を低減できる。 2.ダイヤモンド膜についてフッ素化、窒素イオン注入による摩擦低減効果を明らかにした。さらにマイクロ摩耗に及ぼす影響を求めた。 3.SPMを用いた原子オーダの摩擦、摩耗に関する評価技術を構築し、マイカ(白雲母)、黒鉛、ダイヤモンドなどの評価に適用し、表面の吸着水の影響など原子オーダの摩擦、摩耗メカニズムを追求した。 これらの結果は情報機器で課題となるマイクロトライボロジーにおけるゼロ摩耗を実現する表面構造設計、評価法の指針を与えるものと考えられる。
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