1.銅、チタン、ほう素およびほう化チタンの混合粉末を高エネルギーボールミルによって合金化し、その過程を、特に組織学的に検討した。ボールミルはアトライタ型ミルを用いた。粉末は元素粉末を種々の割合で混合し、ミリング時間にともなう粉末粒子の組織変化を電子顕微鏡観察、X線回折で調べた。その結果、(1)ミリングにより粒子が破砕と冷間接合を繰り返し、球状で安定した平均粒径となる過程で、微細な合金相が形成する。(2)ほう素やほう化チタンを添加すると合金相の微細化は促進され、約10nmの結晶となる。(3)チタンの一部は銅中に固溶するが、ほう素と固相反応してTiB_2を形成する。 2.メカニカルアロイングしたCu-Ti-B合金粉末を種々の温度と時間で焼結し、焼結過程にともなう組織と機械的強度の変化を調べた。その結果、(1)高焼結温度ほど短時間の焼結過程でTiB_2が形成する。また粒子の接合面に銅濃度の高い領域が生成する。(2)焼結過程で硬さは2つの極大値をもって硬化する。硬化度は焼結温度、時間によって変化するが、チタンとほう素の添加量の影響は小さい。(3)長時間焼結すると粒子界面での接合が強固となり、抗折強度が上昇する。以上のことが判明した。
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