前年度の研究で得られた結果を基に、Cu、Ti、Bの混合粉末をメカニカルアロイング(MA)し、Cu-Ti合金相中にTi-B反応生成物粒子が分散する合金粉末を作製した。この合金粉末を種々の温度で熱処理し、組織と堅さの変化を調べた結果; (1)670〜1170Kで短時間(1.2〜3.6Ks)の加熱処理すると、明瞭な界面をもつ濃度勾配のある領域(ゾーン)が形成し、硬さが上昇する。また長時間加熱処理すると、TiB2などのほう化チタンの生成および純安定相Cu3Tiが析出し、加熱処理にともない硬さは2つの極大値をもって変化する。また、初期の硬さの極大値はB量に依存しないが、後期の硬さの極大値は高B量ほど大きい。 (2)溶製材から作製したCu-Ti合金粉末にBを加えてMAした結果と比較すると、元素混合粉末をMAした方がほう化チタンの生成が著しい。 MAした合金粉末の圧粉体を670〜1170Kで焼結した結果; (3)焼結体の空洞率は1170Kで焼結すると、焼結時間にともない減少するが、1070K以下の焼結ではほとんど変化しない。 (4)焼結体の3点曲げ抗折試験により求めた破断強さは、粉末の硬さと同様に、焼結時間にともなって2段階に変化し、粒子界面にCu高濃度相が生成して粒子間の結合強さが上昇する。
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