研究概要 |
試験片表面に100,95,90本/inchのモデルグリッドを焼付け,異なる2枚の画像を変形前・後の画像として処理することにより,便宜的に引張ひずみを与えた状態を再現した.実際に試験片を引張るときより全領域での一様なひずみ状態を想定することが可能である.走査モアレ法により求められたモアレひずみの精度比較の基準となるひずみはそれぞれの試験片表面を拡大し,ピッチの実測により計算した.100本の試験片を変形前のものとしたとき,95本のものは約4%,90本のものは約9%のひずみに対応する.本研究では,曲面ひずみの測定法を確立するための基礎的な実験として,CCDカメラの軸線に正対せず,ある傾きをもった試験片のひずみを求めることを試みた.ここでは,水平面内および垂直面内で試験片を0度(正対位置)から30度まで5度刻みで角度を変化させ,それぞれ取り込まれたモアレ画像に角度補正を行い,その実ひずみを求め,精度の検証を行なった.カメラと試験片との距離測定はレーザ距離計により,また,軸線と試験片との角度測定はレーザ距離計の移動により,それぞれ求めた.ひずみは試験片中心より上下左右にそれぞれ5点,あわせて21点で測定を行ない,測定値の精度を検討した.その結果,角度の増大に伴い,測定精度は悪くなるが,ほぼ全ての場合について,システム自体のもつ10%以内の誤差でひずみ測定が可能であった.角度が30度を越えると,照明むら・領域全体での焦点合わせが不可能などの理由によって,良好なモアレ縞を得ることが困難となり,精度を議論するまでには至らなかった.今回の研究より,曲面の角度を測定することにより1台のカメラで曲面ひずみの測定が可能であることが示された.現在,2台のカメラを用いて曲面の角度とひずみを同時に測定する実験を継続中である.
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