| 研究概要 |
オーステナイト系およびフェライト系ステンレス鋼(SUS304,SUS430)とアルミニウム(Al)の2層および3層クラッド板を用いて,二軸平面応力下の成形限界,引張り曲げ・曲げ戻しにおける板厚変化やはく離強度などについて検討した。得られた主な知見は次のとおりである。
(1)引張りおよび張り出し実験により成形限界線図(FLD)をクラッド板およびその構成素材について求め,成形性の評価を行った。成形性の悪い板(SUS430)も成形性の良い板(SUS304およびAl)と組合せることにより成形性は格段に向上する。
(2)ひずみ比が負の領域におけるクラッド板の成形限界をHillの局部くびれ条件を応用することにより導いた。この条件式による成形限界予測結果は実験結果と比較的よく一致した。
(3)ひずみ比が正の領域におけるクラッド板の成形限界は,拡散くびれ以降に板厚不均一とボイド発生・成長があると仮定したモデル(修正M-K+ボイド成長モデル)によって説明できることがわかった。
(4)ダイス肩部に沿った引張り曲げ・曲げ戻し時のクラッド板の板厚変化に及ぼす積層構成,引張り荷重およびダイス曲率(曲げ半径)の影響を実験と数値解析により明らかにした。
(5)冷間圧接SUS430/Al(2層)板の引張り曲げ・曲げ戻し実験から曲げ曲率が小さいほど,また引張り力が大きいほどはく離が生じやすいことがわかった。引張り曲げ・曲げ戻し部の応力解析結果よりダイス肩出口での曲げ戻し部における層間垂直応力およびせん断応力がはく離に強く関与していることがわかった。
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