供試材の肉厚方向のシリコンカーバイト粒子の分布は、切裂法による-750〜500muストレインというひずみ測定後、研磨した肉厚方向の面について光学顕微鏡観察で計測し、数式表示した。さらに、傾斜機能材料を球状粒子分散型複合材料において粒子の分布が傾斜している材料と考え、線膨張係数分布と弾性係数分布を求めた。 残留応力は、傾斜機能材料で作られた長方形断面の厚肉リングが、軸対称の熱変形の拘束を受けて生じるとして解析した。切裂法では切断の結果として生じる変形を測定するため、残留応力を持つリングを切断することにより生じる曲げモーメントMoにより、リングにひずみepsilon_<THETA>が生じると考え、残留応力分布を逆問題として解析する。したがって、逆に切り口の両端に曲げモーメント-Moを作用させると元の形状に復帰する。本研究の解析の流れは、【.encircled1.】.切断したリングにひずみ測定値epsilon_<THETAob>を生じる曲げモーメントM_1計算、【.encircled2.】.リングに曲げモーメントM_1を生じる一様な温度変化DELTAT推定、【.encircled3.】.全試験片についてDELTATの平均値DELTAT_<av>計算、【.encircled4.】.DELTAT_<av>でリングに生じる曲げモーメントM_2計算、【.encircled5.】.曲げモメーントM_2により切断したリングに生じるひずみ計算値epsilon_<THETAcal>算出、【.encircled6.】.epsilon_<THETAob>-epsilon_<THETAcal>の比較、である。解析の結果、DELTAT_<av>≒140Kと基準温度0.5Tm(Tmは融点)から室温までの温度低下に対応する妥当な温度のときepsilon_<THETAob>-epsilon_<THETAcal>の1対1関係を認めることができ、この解析法は妥当なものと考えることができる。結局、残留応力は基準温度0.5Tmから室温までの温度低下DELTAT≒140Kによつて発生し、リング内周部から外周部へと線膨張係数が相対的に低下するため、切裂法で測定するひずみは試験片内周部で圧縮ひずみ、外周部で引張ひずみとなり、その絶対値は組成傾斜が大きく熱ミスフイ ツトが大きいほど、また、肉厚が厚いほど大きくなる。
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