本研究で用いる薄肉円管試験片の軸力・トルク負荷による直径変化、伸縮及びねじりの各変形は炉外へ導いて測定する。直径変化測定装置は炉壁に固定されるので、試験片との接触部で滑る。このために測定値に混入するノイズはデータ処理によって除く。測定は板ばねに接着したひずみゲージによる。伸縮及びねじりの組合せ変形測定装置の試験片への取り付け部は、試験片の変形に拘束を与えることなく変形に追随し、しかも、薄肉であるため、取り付けのための突起を設けることもよくない。平成4年度にこれらの装置の設計をしたが、このような問題点に対処するため平成5年度には、全面的に設計し直した。リンクと錘を用いた特殊な取り付け部の構造を考案した。また、同時に生ずる伸縮とねじれの変形を干渉なく分離して測定する必要があり、このための組合せ変形測定装置を設計した。変位センサとしては、市販の差動変圧器形のものを採用し、このセンサと接続用ケーブル及び取り付け具4セットを平成5年度補助金で購入した。センサとセットになる多点変位計は別途購入した。 本研究に関連する研究として、室温で折れ線塑性ひずみ経路に沿う変形を試験片に与え、後続降伏曲面を求めるための実験用プログラムを開発した。これはC言語で作成し、A/D変換器及びステッピングモータコントローラとの入出力部のみアセンブリ言語を用いている。また、超塑性材(チタン合金Ti-6AI-4V)の特性の温度及びひずみ速度依存性について実験的な研究を行った。これは近く発表する積もりである。 上記の変形測定装置は費用の関係で製作できず、実験に着手できなかった。平成6年度にこの装置の製作を完了する予定である。
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