研究概要 |
高圧.高速摩擦試験機の試作については,本体の製作がすでに終了し,予備実験を行っている。試験機の基本的性能を明確にするため,軟鋼を素材とし,SKD11合金工具鋼との組合せで,種々の摩擦条件で試験を行っている。 低速摩擦試験では,現有のしごき形摩擦機を用いて,亜鉛めっき鋼板,ニッケルめっき鋼,銅めっき鋼板の摩擦試験を行った。いずれの材料の場合も,しごき行程に対する摩擦係数の変化を明らかにした。さらに,摩擦面の光学顕微鏡観察も行った。現在,さらに詳細な観察をSEM,EPMA,ESCA等を用いて行っている。以下に亜鉛めっき鋼板の場合の主な結果をまとめて述べる。 (1)EL材(下層:Fe15-Zn85電気めっき,上層:Fe85-Zn15電気めっき)では,低粘度潤滑油を用いた高しごき率条件でも,摩擦係数は低く,摩擦後の素材表面は滑らかである。 (2)GAE材(下層:合金化溶融亜鉛めっき,上層:Fe85-Zn15電気めっき)では,EL材と同様,低粘度油高しごき率条件で低摩擦係数となるが,低しごき率でもめっき層のはく離が生じ,粗悪な表面となる。 (3)GA材(合金化溶融亜鉛めっき)では,高しごき率では,高粘度油潤滑でもめっき層のはく離が生じ,劣悪な面となる。 (4)EG材(電気亜鉛めっき)では,高しごき率でも高粘度油を用いれば,低摩擦係数を示し,めっき層は強固ではく離し難く,摩擦後も非常に滑らかな面となる。 今後は,主に画像処理装置(本科学研究費にて購入)を用いた表面の観察を行い,摩擦現象の定量的把握を試みる。
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