本研究は交差穴の鞍形曲面に発生するバリの新しい除去方法に関する研究である。本年度の研究成果は以下の通りである。 1.直交交差穴について (1)前年度試作したカム機構によるバリ除去装置を炭素鋼以外の軟質材料(銅、アルミニューム、黄銅)のバリについて適用し実験を行った結果、炭素鋼の場合と同様に大変有効であることが確かめられた。切刃角は50〜60°、切刃支持剛性は数+N/mmが適当である。 (2)本方式では交差穴径3mm程度までは十分可能であるが、2mm以下は困難と考えられる。 (3)カム機構の耐久性について実験的に検討した。カムおよびフォロワはある程度摩耗するが、ほぼ均等な摩耗であり、曲面の追跡機能として大きな支障はない。しかし実用化するためにはカム材料の選定、耐摩耗処理等の対策が必要となろう。 (4)交差穴径の誤差、軸心のオフセット等のバリ除去特性に及ぼす影響を実験的に調べた結果、これらの誤差は0.5〜0.7mm程度以下ならば大きな悪影響を及ぼさないことが判明した。 2.斜交差穴について (1)直交交差穴用のバリ除去装置のままでも斜交角が数度までならば十分有効にバリ除去が可能である。 (2)各斜交角に合わせたカムと切刃を備えた斜交角用バリ除去装置を試作し斜交差穴のバリ除去実験を行った。この結果、30°までの斜交差穴に対し十分有効であることが確認された。
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