研究概要 |
本研究は、ホウ素正20面体の骨格から構成されているAl_3C_2B_<48>結晶を基礎として、これにケイ素添加した結晶を金属フラックス法によって確立2、それらの結晶を用いて新しい切削用の焼結工具の開発を目的としたものである、本年度の研究概要は以下の通りである。 1)工具材料として使用する場合のケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶の合成条件 工具材料としての必要条件は、得られた結晶の硬さと耐酸化性が重要であることからケイ素の添加量を変化させたAl_3C_2B_<48>型結晶を合成した。その結果、工具材料として期待できるケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶の最適合成条件は、加熱速度290℃/h、加熱温度1450℃、保持時間10h、冷却速度20℃/hで原料の配合原子比は、B/Al=0.10,C/B=0.056,Si/B=0.004の場合であった。なお、得られた結晶の結晶学データや物性についての評価は、材料学会誌に投稿して掲載(1994,Vol.43,No.485)された。 2)ケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶の焼結と切削実験 ケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶を焼結するための焼結バインダーを検討した。その結果、種々の金属系バインダーは、結晶と一部反応して工具として不適合であった。現在研究中で焼結ができたB_4C結晶とAl_3C_2B_<48>型結晶の混合で焼結を試みる。ホットプレスの焼結条件は、温度1900℃、圧力60Mpa、保持時間1時間、10^<-4>mmHgの真空中で配合割合をB_4C結晶に対して最大で5〜50%の混合で行う。焼結体を作成した後は、用途が広く難削材である高Siアルミニウム合金での切削実験を行う。工具は、超硬工具K種と多結晶ダイヤモンド工具およびケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶の焼結工具を用いて、各工具の摩耗特性と仕上面粗さからケイ素添加したAl_3C_2B_<48>型結晶の工具材料としての可能性を明らかにする。得られた結果は、学会で発表する予定である。
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