研究概要 |
Ti-6AL-4V合金焼鈍材を,ダイヤモンド砥石,CBN砥石及びGC砥石を使用して種々な研削条件で平面プランジ研削(砥石周速度32m/s,研削液の注液圧力2MPa,材料除去率0.5〜5.1mm^3/mm.s)し,仕上面の形状精度及び表面性状(研削残留応力及び変質層)を測定し,SEMによる観察を行った.その結果,実験範囲内では次のことが明らかになった. 仕上面の品位は砥石によって著しく異なり,ダイヤモンド砥石で研削した面が最も優れている.砥粒の靭性が比較的高いものが特に良い.砥粒径の減少に伴って仕上面の粗さ及び加工変質層の深さは減少する傾向を示すが,粗さには粒径の最適値が存在する.また,高能率研削では粒径を粗くした方が表面性状が良い.ボンドは,砥粒保持力が大きければレジノイド及びビトリファイドの何れも良好な表面性状が得られる.チップポケットの大きさが重要である.適正なダイヤモンド砥石を使用して,注液圧力2MPaで研削した場合は,仕上面の残留応力は表面で圧縮応力となり,内部の応力分布形態も圧縮タイプになる.砥石は目づまりを起こさず,仕上面に研削焼けやスメアドメタルの発生は認められない.また断面の組織は表面近傍で微細化しており,加工硬化を生じている. 材料除去率が増加すると,形状精度が低下し(細粒砥石ほど著しい),加工変質層の深さが増加する.この場合,高圧注液による冷却と砥粒のバニッシュ作用の効果によって,研削表面に引張り応力が殆んど発生しないが,内部のピーク応力は引張り側へ移行する傾向がある.仕上面性状は,工作物速度を速くして切込みを少なくした方が良好になる. 注液圧力は,仕上面の品位に大きい影響を及ぼし,圧力を増加すると仕上面の粗さ,残留応力,加工変質層の深さなどが著しく改善される. 板状試験片の両面を研削して,これを両振り曲げ疲労試験をした結果,適正な研削条件で研削したものは,研削前よりも疲れ強さが向上した.
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