研究概要 |
チタン合金を高品位、高能率に研削する為に、砥粒の熱伝導率が高いダイヤモンド砥石を使用し、研削点に高圧力の注液を行いながら砥石周速32m/sでチタン合金を研削した、その仕上面品位を解明する為に、焼鈍したTi‐6Al‐4V合金薄板疲労試験片の表裏両面を長手方向に平面トラバース研削して、これを両振り平面曲げ疲労試験した。また、平面プランジ研削実験を行い、研削特性を検討した。実験の結果から次のことが明かになった。 1.研削した試験片の疲れ強さは、使用した砥石によって著しく異なる。疲れ強さを大にする砥石は、砥粒が高靱性で、ボンドの砥粒保持力が大きく、砥石表面には研削液が十分に侵入し得る気孔をもつダイヤモンド砥石である。この場合は、研削後に再焼鈍した試験片よりも疲れ強さが増加する。これに対してCBN砥石の場合は疲れ強さが劣り、普通砥石の場合は著しく低くなる。2.疲れ強さは、冷却性の優れた研削液の場合に向上するが、冷却性以外の油性もこれを僅かに支配している。疲れ限度は、水溶性研削液の濃度を気泡が発生しない範囲で高くすると向上し、供試研削液の中では、W1種1号相当品の10%希釈液の場合に最も高い値が得られた。3.疲れ強さは、注液圧力を高くすると増加する。上述の研削液を使用し、液圧2MPa,SDC8OR100B砥石で研削した試験片の疲れ限度は±440MPaとなり、普通砥石で砥石低周速度研削した場合の疲れ限度(373MPa)よりも著しく改善された。4.研削液の濃度及び注液圧力を高くすると、砥石損耗量、研削抵抗、仕上面の粗さ及び研削加工変質層の深さが減少し、仕上面の表面の硬さ及び圧縮残留応力が増加する。5.仕上面の研削残留応力及び硬さ(強さ)は、研削した試験片の疲れ強さに最も大きい影響を及ぼす。6.betaチタン合金は、純チタン及びalpha+beta合金に比べて難削で、研削によって仕上面品位が低下し易い。
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