研究概要 |
動力伝動装置の軽量・低振動ハウジングの設計支援システムの構築を最終的な目的として,当該年度においては低振動かつ高剛性ハウジングの最適設計を研究目的とした。成果を以下に記す。 1.このような設計を行う場合,評価基準の設定が重要である。通常,注目点への振動伝達関数を評価に用いることが多いが,ハウジング全体の振動を評価する目的には必ずしも適さない。そこで,ハウジング全体の振動エネルギーを評価関数として採用した。 2.三角形シェル要素を用いてハウジングを有限要素モデル化し,固有値解析を行い固有値と固有ベクトルを求めた。さらに,板厚分布を設計変数としてこれらの感度を求め,その関数として評価関数の感度を得た。 3.傾斜投影法と1次元探索によって,重量一定の条件の下で振動を低減する最適解を得る計算プログラムを作成した。 4.振動実験用歯車装置の設計問題に適用して結果の検討を行った。計算プログラムは期待通りに動くことを確認した。設計解を普遍化して,任意の設計条件下で初期設計解を得るようにするためには,結果の蓄積と解析が必要であり,今後の課題と考えている。 5.伝動装置の起振力を静荷重に重畳した調和励振力と考え,低振動とともに高剛性を実現するために作成した計算プログラムを多目的最適設計用に拡張した。具体的には目標計画法を採用して,設計者の意図を反映する設計解を得るための重みの与え方などを考察した。この結果は近く発表する予定であり,現実の設計支援システム構築を目標として目的関数や制約条件の設定を含めて研究を継続している。
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