研究概要 |
機械の動力伝達に用いられる回転軸は,単にたわみ振動をするばかりでなくねじり振動も発生してこれが各部位へ伝播する.とくに軸が長いとこれが顕著になる.この振動は歯車などの回転方向振動と連成して系全体の振動に寄与する.軸のねじり振動を軸方向の任意の点で計測するには非接触によらなければならず,レーザードップラ法がこの要求を満足する.しかし,この方法は常に安定した信号を得ることが難しく,経済的にも非常に高価である.そこでこの様な軸のねじり振動の分布を非接触かつ簡便で,的確に計測できる手法を開発することを目的とする. このために,軸の表面に目盛り縞を貼り付け,これを光学的に読み取り,軸のねじれ振動モードを推定し,この計測法を確立する. 1)本年度はまず,比較的小径の回転軸において歯車を用いて回転振動が生じるような実験装置を製作して,その外周に目盛縞を張り付けて計測できるようにして,軸の回転振動の計測の可能性を検討した. 2)具体的には縞の動きをモアレ干渉法によって明暗情報として検出し,この信号をF/Vコンバータに入力して振動速度を求める方法を実現した.さらにこれを向い合わせに2個用いることで回転振動のみを取り出せることを確認した. 3)目盛縞の本数と計測できる振動数との間の関係について簡単なシミュレーションによって明かにした.その結果計測可能な周波数は回転数に依存し,概ね縞の周波数の10分の1の周波数まで測れる. 4)単に回転振動ばかりでなく,同時に生じる軸直角方向振動も同時に計測できる可能性があることが分かった.
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