研究概要 |
平成4年度では,円弧前縁を有する平板翼を用い,翼厚を代表長さとして求めたレイノルズ数Re=2.65×10^4一定の下に,平板翼まわりの流れ場が一様流および加速流の各場合について,平板翼の迎え角α=0゚〜5゚(流速測定ではα=0゚〜4゚)の各条件で翼面の剥離・再付着流れを実験的に検討した.油膜法による流れの可視化実験結果および直線プローブやスプリットフィルムと熱線流速計の組合わせによる流速測定から得られた翼面の剥離・再付着流れの結果を以下に示す. 1.剥離点に対する一様流,加速流の流れ場の影響は認められず,剥離点は迎え角を増加すると,岐点の腹面側への移動に伴い前縁側に移動する. 2.再付着点は一様流の流れ場の場合,迎え角αの増加に伴い後縁側に移動するが,α=2゚付近から,後縁側に移動する割合は大きくなる.一方、加速流の流れ場におけるα=0゚〜1゚の場合では,再付着点はほぼ同じであるが,α=3゚付近から迎え角の増加に伴い急激に後縁側に移動する. 3.剥離点前の境界層における流速乱れのパワースペクトル解析によれば,トルミーン・シュリヒティング波の存在に起因すると考えられる大きいスペクトル強さを有する特定周波数が現われる.特定周波数の現われる翼弦方向位置と剥離点から,加速流の流れ場でα≦1゚では層流剥離,一様流でα=0゚〜1゚では遷移領域での剥離,α≒3゚以上では乱流剥離であると考えられる. 4.剥離泡長さは層流剥離の場合と遷移領域での剥離の場合とでは,差は少ないが,乱流剥離の場合は,剥離泡長さは急激に大きくなる.剥離泡の渦中心は前者においては剥離泡の後半部にあるが,後者においては剥離泡の前半部に存在する.
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