研究概要 |
本年度の研究内容およびその成果は以下の通りである. (1)Leslie-Ericksenモデルによるシミュレーション 液晶の構成式のひとつであるLeslie-Ericksenモデルにより流路に突起を有する流路内の流れのシミュレーションを行った.昨年度は,助走区間内の流れの解析を行っている.今回は,複雑な流路形状のシミュレーションに適した方法として,境界適合曲線座標を用いた差分法を開発した.この方法により,突起を有する流路の計算を行うことができるようになり,突起による分子配向の様子および液晶の弾性の影響を明らかにすることができた.これは,今後液晶高分子の流れの解析をするための重要な基礎知識を提供する.さらに,Leslie-Ericksenモデルに高粘度近似を適用すると,TIFモデルが導出され,それをテンソル表示に変形し流動解析を試みた. (2)液晶高分子のスクイーズ流れの数値解析 修正Doiモデルを用いて液晶高分子のスクイーズ流れの解析を行った. 本年度は速度分布を直接Doiモデルから計算する方法を試みた.ただし,潤滑近似を導入することによって,流れを準一次元流れとし,差分法による数値計算を行った.その結果,スクイーズ流れにおける分子配向の変化が明かとなった.しかし,初期の分子配向によっては計算が発散することがあった.これは,中心付近における配向角の振動によるものであるが,昨年度の速度分布をDoiモデルで計算しなかったときには,生じなかったことから,今後Doiモデルでのシミュレーションにはこの点の検討が必要である.
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