研究概要 |
局所熱伝達を制御する基本的方法の1つとしてオフセット型乱流衝突噴流が考えられる。実用的にも省エネルギー,除熱促進等のために応用されている。しかし,基礎的にはまだ不十分な点も多い。 平成4年度では,感温液晶を衝突面に設置し,その温度測定に使用するための基礎システムを開発し,実際の伝熱実験に応用した。衝突噴流伝熱実験では,ノズル角度を90゚,60゚,45゚とし,ノズル径を一定にして流量およびノズル・衝突面間距離を変化させ,局所熱伝達特性を詳細に得た。 平成5年度では特に,前年度の伝熱特性の結果をふまえて,流動実験に主眼をおいた。ノズル角度を90゚,60゚,45゚とし,衝突面付近の乱れ強さノズル・衝突面間の速度分布を測定した。実験条件として,ノズル代表径30mm,ノズル・衝突面間距離30mm,レイノルズ数10000と20000である。一般的にノズルから流出した等速線は,下面に衝突後,上流側に加速し,極大流速を有する。実際の岐点は,幾何学的岐点より,下流側に移動している。乱れ強さは,ノズルから流体が噴出した後,周囲からの巻き込みが閉じた形で現れ,下流側に伝播し,乱れのエネルギーが蓄積されて,幾何学的岐点より下流側に極大値をとっている。幾何学的岐点に近い上流側に18%という高い値をとり,場所的に乱れ強さの勾配が増大している。一方,速度変動のパワースペクトラムはレイノルズ数に依存し,Re=10^4で,150HZ,Re=2×10^4で80〜300HZが支配的で,伝熱促進に,寄与していることが明らかになった。 以上,前年の伝熱結果と,本年の流動結果の対応を行った。
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